徳島県ならではのネーミングで人気の地鶏「阿波尾鶏」
「阿波尾鶏」は四国・徳島県の主に西部・南部で生産されている地鶏です。
徳島県でお盆期間中に行われる「阿波踊り」にちなんで名付けられた地鶏です。
年間の生産羽数が200万羽を超えており、全国の地鶏ブランドのなかでは日本一の生産数となっています。
「阿波尾鶏」のネット上の口コミ評価は…
※楽天市場・Yahoo!ショッピングなどのレビューから独自に算出
肉の味がしっかりしているなどのコメントが多いようです。
肉質も歯応えがあるけどプリプリの食感・有名な地鶏と比べても遜色ないなど高めの評価です。
タタキや焼き鳥など食感が感じられる調理法がおすすめです。
全国に先駆けて地鶏JISマークで販売された「阿波尾鶏」
徳島県では昔から養鶏業が盛んな地域でした。主に大阪へ船を使って生きたまま出荷されていました。
戦後になり養鶏業にブロイラー種が導入されると徳島県でもいち早くブロイラー生産が盛んになり、ピーク時の昭和40年頃には、徳島県産が全国のブロイラー出荷数の約5%を占めるまでになりました。
しかし昭和40年代後半、ブラジル産のブロイラーが大量に輸入されるようになると、全国のブロイラー生産農家は大打撃を受けます。
徳島県のブロイラー生産者も例外ではありませんでした。
そのような事情もあり、当時の徳島県養鶏協会会長が徳島県の畜産研究課に現状を打破するために「昔のように美味しい鶏を生産できないか?」と相談したのがきっかけで徳島県独自の地鶏開発が始まります。
そして1978年(昭和53年)から徳島県の山間部で飼われていた「赤笹系軍鶏」が90日ほどで肉質が良好になることから、この赤笹系軍鶏の選抜種を作ることから開発が始まります。
選抜種の改良は成功します。しかしながら軍鶏は気性も荒く、雛の数も少ない為出荷数の確保も難しく、そのままでは商品化は困難でした。
そこで赤笹系軍鶏の改良種の雄とアメリカ原産でブロイラーの雌系統にもよく使われている「ホワイトプリマスロック」種の雌を掛け合わせた種を元にして育成法・肉質のチェックをした結果、出荷まで80~85日で目標体重に達し、尚且つ雛の数も十分に確保できる改良種の地鶏が出来上がりました。
この地鶏が尾羽が美しく躍動感のある姿をしていたため畜産研究課の職員がダジャレで「阿波尾鶏」と呼んだことがきっかけで「阿波尾鶏」が正式な名称となったそうです。
「阿波尾鶏」は1989年(平成元年)から「阿波尾鶏ブランド確立対策協議会」が立ち上げられ、生産がスタートしますが、当初は飼育農家も4戸しかありませんでした。
冷凍状態での鶏肉の在庫も抱えるほど当初はまったく売れなかったようです。
しかし協議会の地道な努力、さらに1998年(平成10年)明石海峡大橋の開通により、大鳴門橋経由で本州との交通網が確立されたことにより、販売数量が大幅に伸びていきます。
1998年(平成10年)には地鶏の生産量で全国一位となり、2001年(平成13年)には生産羽数が100万羽を突破します。
1999年(平成11年)に農林水産省が地鶏肉の日本農林規格(地鶏JAS)を制定します。
日本農林規格(地鶏JAS)の概要は
- 素雛…在来種(明治時代までに国内で成立したまたは導入され定着した鶏)由来の血液百分率が50%以上のもので、出生の証明ができるもの
- 飼育期間…75日以上飼育したもの
- 飼育方法…28日齢から平飼い※で飼育したもの
- 飼育密度…28日齢から1㎡あたり10羽以下で飼育したもの
※平飼い…鶏舎内や養鶏場の屋外で地面に放して、自由に運動できるようにした飼い方。反対に産卵鶏はゲージ飼いをしていることが大多数。
「阿波尾鶏」は全国に先駆けて2001年(平成13年)に地鶏肉JAS 第1号としての認定を受けます。
地鶏肉JASの認定で偽物の流通や産地、賞味期限の偽装などから「阿波尾鶏」ブランドを守ることにもなり、合わせて安心安全に消費者に届けることに繋がっています。
2004年(平成16年)には生産羽数が200万羽を超え、現在でも徳島県の農林水産物のブランドリーダー的な存在となっています。
「阿波尾鶏」の生産定義・基準は
「阿波尾鶏」の生産・流通に関しては阿波尾鶏ブランド確立対策協議会が統括し、管理しています。
地鶏JASに基づいた「阿波尾鶏」の生産基準は
- 出荷時の体重…約3.4Kg
- 飼育期間…80日以上
- 飼育密度…1㎡あたり6~10羽以下で平飼い
他の地鶏に比べると飼育期間は短めです。
※「名古屋コーチン」…120日~150日、「青森シャモロック」…100日~120日など
これは出荷時の個体の大きさや肉質にもよって変わってきます。さらに80日以上という期間で安定供給にも繋がっています。
リーズナブルで美味しい地鶏「阿波尾鶏」
「阿波尾鶏」は開発当初から「名古屋コーチン」や「比内地鶏」などの地鶏との差別化のため、競合しない価格帯を設定しています。
流通量の関係もあり若干安いイメージです。
「阿波尾鶏」の肉の特徴は旨味成分のイノシン酸が豊富で低脂肪、肉はやや赤みが強く適度な歯ごたえがあります。
配合飼料にオリーブ粕を加えているため旨味が凝縮されているとも言われています。
そして変わり種商品も。
「阿波尾鶏削り節」。かつお節よりも旨味成分が多く、高たんぱく低脂肪の商品です。調味料等は使用していないので無添加商品を愛用されている方にもおすすめ。
加工品やコンビニコラボ商品なども充実している「阿波尾鶏」。見かけたらぜひご賞味ください。
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