一頭のスーパー種牛の血脈を受け継ぐ「おおいた和牛」
「おおいた和牛」はその名の通り大分県で肥育されているブランド牛肉で、同じく大分県で肥育されている「おおいた豊後牛」の最高級ブランドになります。
「おおいた和牛」のブランド名称は、大分県で「豊後牛」の歴史が始まってから100年目にあたる2018年(平成30年)に誕生したばかりのブランド牛肉になります。
和牛のオリンピックで数々の受賞歴がある和牛が基礎の「おおいた和牛」
大分県での和牛生産の歴史は古く1906年(明治39年)には大分県農業技術センター畜産部が開場し、和牛の品種改良が始まっています。
1918年(大正7年 )には豊後牛としての基礎が固まり始め、この年から豊後牛の生産が本格的に始まったと言われています。
1921年(大正10年)になると大分県産の種雄牛「千代山号」が全国畜産博覧会で1等賞を受賞。そして今では考えられませんが1等賞と大分県産の和牛をアピールするため銀座を「千代山号」がパレードして歩いたそうです。
1953年(昭和28年)に開催された第1回全国和牛共進会において繫殖雌牛の「すみえ号」が最優秀賞である農林水産大臣賞を受賞します。
そして1970年(昭和45年)には第2回全国和牛産肉能力共進会で大分県産和牛が最高賞の内閣総理大臣賞を受賞します。
※全国和牛能力共進会とは…5年に一度行われる通称「和牛のオリンピック」といわれる全国規模の和牛の品評会で種牛の部と肉牛の部があり、全国持ち回りで行われる。そこで賞を受賞することは東京食肉市場で行われる「全国肉用牛枝肉共励会」と共に生産団体、生産者には大変名誉なことになります。
そして1983年(昭和58年)に誕生した一頭の雄牛が豊後牛の発展に大きくかかわることになります。名は「糸福号」。豊後牛の父と呼ばれています。
「糸福号」の産子は発育良好な上に肉質もよく、市場においても高評価を得ていました。
多くの産子が基幹種牛や基礎繁殖牛となり、現在でも「糸福号」の子孫が大分県のみならず全国で基礎牛として活躍しています。「糸福号」の産子の取引総額は170億円~180億円とも言われています。
大分県玖珠町の国道沿いにはその功績をたたえた「糸福号」の銅像があるほどです。
その後も大分県の和牛は全国和牛能力共進会で上位の常連となっています。
2013年(平成25年)には大分県内の和牛の統一ブランド名として「おおいた豊後牛」が誕生します。「おおいた豊後牛」の中でも肉質等級4以上のものは「おおいた豊後牛頂」として流通することとなります。
そして豊後牛100年の節目となる2018年(平成30年)に「おおいた豊後牛頂」が「おおいた和牛」としてブランドネーム化され全国へ売り出されることとなったのです。
「おおいた和牛」の定義は
「おおいた豊後牛」のうちでも以下の基準を満たしたものが「おおいた和牛」となります。
- 上位等級(肉質4等級以上)による品質確保
- 美味しさにこだわった生産農場による顔が見える牛づくり
- 美味しさにこだわった生産農場で取り組む美味しさの追求(米やビール粕などの給与)
引用:大分県豊後牛流通促進対策協議会百年の恵み「おおいた和牛」より
とろける霜降り肉が特徴の「おおいた和牛」
「おおいた和牛」は旨味の詰まった赤身と甘みのある脂身が特徴です。
すき焼きにするとよりうまさが際立ちそうです。
「おおいた和牛」はブランド牛肉としての浸透度がこれからです。ただしこれまで述べてきたように「豊後牛」100年の歴史がつまったブランド牛肉です。
ブランドとして名前が浸透する前の今がねらい目のブランド牛肉ですよ。
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