オレイン酸の含有率が高く注目のブランド牛肉「能登牛」
「能登牛」は石川県能登半島を中心に生産されているブランド牛肉でその美味しさと希少性から「幻のブランド牛肉」と呼ばれることもあるほどです。
能登半島の潮風が吹きつけ、厳しくも美しい自然の中で育てられた「能登牛」は脂肪の中に含まれる「オレイン酸」という脂肪酸の含有率が高く、とろけるような食感が味わえると言われています。
※オレイン酸…血液中の悪玉コレステロールだけを減らす効果があるといわれている脂肪酸の一種。オリーブオイルに多く含まれています。
石川県以外では食べれなかった「能登牛」を全国へ
「能登牛」のルーツは1892年(明治25年)頃に兵庫県但馬地方から仕入れた3頭の種牛と言われています。
その後1924年(大正13年)に鳥取県から導入した8頭の牛から始まった計画的な導入により、改良されて現在の能登牛へと繋がったと言われています。
当時は農耕用に足腰が頑丈な牛が好んで導入されていたようです。
1934年(昭和9年)頃に石川県が兵庫県美方郡から種雄牛を1頭仕入れたます。
これを機に霜降りが入った上質な肉ができる兵庫県の牛と体格が大きくなる鳥取県の牛を交配した、一代雑種の生産が奨励され、肉質もよく、体格もいいとして高く評価されるようになりました。
しかしまだ全国的にはほぼ無名の存在でした。
1995年(平成7年)「能登牛銘柄推進協議会」が発足すると「能登牛」の基準が出来て、販売・流通の規約などが整備されます。
「能登牛」は2007年(平成19年)に地域団体商標を取得しています。石川県では他に「輪島塗」、「加賀友禅」や金箔で有名な「金沢箔」など沢山あります。
※地域団体商標・・・地域ブランドを適切に保護するために設けられた商標登録制度。経済産業省特許庁で認定。
2009年(平成21年)に鳥取県で開催された第9回全国和牛能力共進会から肉脂肪中に含まれるオレイン酸の測定が開始されると、「能登牛」は特別賞である「脂肪の質賞」を受賞しました。
受賞もきっかけとなりオレイン酸などを売りにしたブランド展開が進められることになります。
これは従来の格付け基準とはまた一味違った基準を独自に設けることで、他のブランド牛肉との差別化を図る狙いもあります。
他の地域でも鳥取県の「鳥取和牛オレイン55」、長野県の「信州プレミアム牛肉」などがオレイン酸の基準を設けています。
2011年(平成23年)12月より、「能登牛」の中でも、特に品質が高いものを「能登牛プレミアム」として認定しています。(基準は下記参照)
2010年(平成22年)度より実施した「能登牛1000頭生産体制整備事業」により、実施年は500頭足らずの出荷頭数だった「能登牛」は、2018年(平成30年)には1000頭越えの出荷頭数となります。
そして「能登牛プレミアム」の占める割合も年々増加しています。
「能登牛プレミアム」はオレイン酸重視の基準
「能登牛」の基準は
- 黒毛和種(血統が明確であるもの)
- 石川県内が最終飼養地で、石川県内での飼養期間が最長であること
- 肉質等級A3以上またはB3以上であること
さらに「能登牛」の中でも、特に品質が高いものを「能登牛プレミアム」として認定しています。
「能登牛プレミアム」の認定基準は
- 格付けA5のうちBMS 10以上のもの
- 格付けA5のうちBMS8または9の場合は、オレイン酸含有率55%以上であること
引用:能登牛銘柄推進協議会事務局HPより
現在は「能登牛プレミアム」の割合が「能登牛」全体の3割強となる年もあり、認知度は高まってきました。
やさしい脂でどんな料理でもあう「能登牛」
「能登牛」は近年は通販やふるさと納税などで他県でも手に入るようになってきました。
脂がやさしいので子供からお年寄りまで幅広い年代で食べれると評判のようです。
また北陸新幹線開通により石川県内での需要も高く、観光資源としての役割も担っています。
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