肉質にこだわりぬいた日本屈指のブランド牛肉「前沢牛」
「前沢牛」は岩手県の南部に位置する奥州市前沢区で肥育されたブランド牛肉です。
西に奥羽山脈が聳え、東に東北地方最大の河川、北上川が流れており自然豊かな土地です。
「前沢牛」は日本三大和牛にも挙げられるブランド牛肉で、牛肉の品評会などでなんども日本一の賞をを獲得していることから、「東の横綱」の異名で呼ばれるほどの岩手県のブランド牛肉です。
かつては「岩手のガリ牛」と呼ばれた「前沢牛」
岩手県奥州市前沢地区はもともと稲作が盛んで牛は主に農耕用や運搬用として飼われていました。
農業の機械化の波により、それまで飼われていた牛が肉用に切り替えられていき前沢地区でも肉牛生産が始まりました。
1969年(昭和44年)にはじめて東京食肉市場に出荷された肉牛は「岩手のガリ牛」といわれ酷評されたそうです。
その後兵庫県から種牛、岡山県や島根県から繁殖用の雌牛を導入し、さらに繁殖農家と肥育農家の情報交換から、繁殖農家が「肥育農家が望むような血統の子牛を生産する」ことに重点がおかれ生産体制が確立していくと、1980年頃から「前沢牛」の評価はみるみる上昇していきます。
そして年一回東京食肉市場で行われる和牛の品質を競う全国肉用牛枝肉共励会において1986年(昭和61年)に初めて最高賞である「名誉賞(農林水産大臣賞)」を受賞します。
その後も「前沢牛」は名誉賞を昭和62年、平成3年、平成5年、平成22年、平成26年と計6回受賞しています。
この受賞回数は2020年現在で最多の受賞回数となっています。
そして2017年(平成29年)3月3日には「松阪牛」「米沢牛」と共に農林水産省の地理的表示(GI)保護制度の登録産品第28号として登録されました。
※「松阪牛」は25号、「米沢牛」は26号
「前沢牛」の基準・定義
- 牛が黒毛和種であること。
- 牛の出生地は、全国和牛登録協会発行の子牛登記証、又はこれに準ずる証明書等により出生地が確認できるものであること。
- 牛の肥育期間は、生産者が1年以上飼養した牛であって、出生から屠畜までの期間内において前沢地域の飼養期間が最長であり、かつ最終飼養地であること。
- 生産者は、牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(いわゆる「牛トレーサビリティ法」)の趣旨を遵守するとともに、素牛導入、飼養管理状況について記録し、確認できる状況であること。
- 枝肉の格付基準は、社団法人日本食肉格付協会の定める肉質等級は「4」以上で、歩留等級が「A」又は「B」であること。
引用:岩手前沢牛協会より
※BMS(牛脂肪交雑基準)霜降りの度合い・細かさなどで12段階で判定
現地でないと食べれない「陸のトロ」と称される「前沢牛のにぎり」
「前沢牛」は上質できめ細やかな霜降りが特徴で、脂はしっとりし、しつこさもなく、上質な香りが口の中に広がり、肉が溶けるように感じられます。
とくに前沢地区のお寿司屋さんなどで提供されている「前沢牛のにぎり」は「陸のトロ」と言われており柔らかい熟成肉の味わいがたまらない逸品となっています。
出荷頭数は年間1000頭前後と少ないですが一度は味わってみたいブランド牛肉の一つです。
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