絶滅の危機から復活した沖縄の琉球在来種豚「アグー」
「アグー」は沖縄県で飼育されている日本古来の在来種の豚です。
戦後絶滅の危機寸前になりましたが、沖縄県をあげての保存活動により数が回復してきています。
全身黒色で小柄なのが特徴です。体重は100kg前後で一般的な肉用豚の3分の1から半分くらいの大きさの豚です。
「あぐー」は流通用に改良された「アグー豚」が由来のブランド豚です。
「あぐー」のネット上の口コミ評価は…
まず脂っこくない、脂がサッパリしていると脂にして好意的なコメントが多いです。
「あぐー」はしゃぶしゃぶなど肉の甘みが感じられる食べ方がおすすめです。
30頭からの現在に至るまでの「アグー」の軌跡
第2次世界大戦の影響により、特に戦火の激しかった沖縄県の「アグー」は激減しました。
さらに戦後は発育が早く、肉量も多い西洋種がアメリカなどから導入され、発育が遅く肉量も少ない「アグー」は収益面で割に合わないこともあり、飼育数が減っていきました。
このように頭数が激減していった「アグー」ですが、沖縄県の名護博物館が昭和56年(1981年)に沖縄県全島で「アグー」の調査を実施したところ、約30頭が現存していることが確認されました。そのうち18頭が沖縄県立北部農林高等学校に集められて、そこから約10年かけて雑種化を取り除くための戻し交配が8代に渡って行われました。
その結果、戦前に存在していた原種に近い「アグー」が復元されました。
※戻し交配…世代を戻って交配すること。生まれた一代雑種に最初の親の片方を交配することを繰り返し行い、元の種に限りなく近づける方法。
現在頭数は600頭以上まで回復してきました。沖縄県畜産研究センターを中心に保存が進められている最中です。
日本古来の在来種の豚はほぼ絶滅状態なため「アグー」は貴重な存在となっています。
現在はなかなか食べることは出来ない「アグー」
保存活動で頭数が増えている「アグー」ですが、先に述べたように、「発育が遅い」「体が小さい」ともに「産子数が少ない」ということもあり価格も高く、肉用豚として市場に安定供給することは出来ないようです。
沖縄本島の一部のお店では提供しています。
「アグー」のお肉の特徴は
- 霜降り割合は一般肉豚(LWD)に比べて5%と多い。
- 脂肪の融点が38.1度と低く、口の中で脂がとろける。
- 肉が柔らかく、脂に甘みや旨みがある。
などが挙げられます。
ゆくゆくは全国どこにいても食べれる日が来るかもしれません。
沖縄のブランド豚肉「あぐー」とは
現在市場に流通している「アグー」由来のブランド豚は「あぐー」というひらがな表記の名称になっています。
「あぐー」は「アグー」の血量が50%以上有する雑種豚です。
「アグー」の雄と西洋種の雌との交配豚で「沖縄あぐー」「やんばる島豚あぐー」「チャーグー」などのブランド豚があります。
「あぐー」のお肉は
- 低コレステロール
- 旨み成分であるグルタミン酸が豊富に含まれている
- ビタミンB1が豊富
沖縄県といえば豚肉文化が古くから定着しています。
- ラフテー(豚バラ肉の角煮)
- ソーキ(骨付きの豚のあばら肉)
- ミミガー(豚の耳たぶ)
- テビチ(豚足の煮込み) など
そんな沖縄県が生んだブランド豚肉「あぐー」。飼育のための工夫も沖縄らしさが出ています。
飼料にさとうきびの糖蜜やオリオンビールの酵母、泡盛粕さらには化石化したサンゴなどを与えている農場もあります。
豚肉文化が根付いた沖縄県からのブランド豚肉「あぐー」。おいしいに決まってます!
週間人気記事ベスト5