ブランド豚肉・銘柄豚とは
ブランド豚肉(銘柄豚)とは生産地の風土を生かしながら、飼育方法・飼育環境などにこだわって育成された豚肉になります。
ほとんどのブランド豚肉・銘柄豚が食べている物(飼料)で違いがあるように、ここには生産者の工夫があるようです。
ブランド豚肉・銘柄豚の定義や基準
ブランド豚肉というのは、地域固有の豚や特殊な飼育方法で育てられている豚の肉のことをいいます。
しかし日本においては、牛肉のように基準が明確にはなっておらず、業者や生産団体がいくつかの項目によって審査して「〇〇豚」として販売できるようになります。
育成方法や品質管理などの面でコストがかかるため、他の一般的な豚肉より多少高価になります。
但し現在のところ基準のあいまいさ故に、品質管理や育成方法が1頭1頭徹底されているとは限らないため、肉質が均一ではないなどの問題も抱えているようです。
ブランド豚肉・銘柄豚の特徴
ブランド豚肉の評価というのは、赤身・脂身の質や量、霜降りなどの肉自体の評価がまずあります。
これは生産者などが独自に指針を決めて行っています。
ブランド豚肉ごとの特徴を出すための方法としては
- 食べ物に違いをつける
- 育成環境で違いをつける
- 品種で違いをつける
以上の3項目が主なブランド豚肉を生み出すための工夫になっているようです。
例を挙げてみます…
①食べ物の違いとしては
- アボカドポーク(千葉県)…飼料にアボカドオイルを加えています
- かごしま黒豚(鹿児島県)…基本的な飼料+さつまいもなど
- 茶美豚「ちゃみーとん」(鹿児島県)…緑茶粉末を飼料に混ぜている など
このようにブランド豚肉ごとに飼料が試行錯誤されています。
②育成環境の違いでは基本的には豚舎の一頭当たりの面積が広くなるようにされています。これは豚のストレス軽減になり肉質にも影響がでるようです。
他では期間を決めて放牧する育成や、その地域の良質な水を与える、などの工夫が施されています。
③品種の違いとしては有名なのは鹿児島県などで多く生産されているバークシャー種の「黒豚」。
独自の系統を形成して単一品種として生産されているのが「TOKYO X」など。
他にも沖縄の「アグー豚」が有名です。しかし豚肉でこのような単一種は13%ほどしかなく貴重な存在となっています。
現在養豚で一般的なのは「三元豚」です。一度は耳にしたことがあると思います。
豚の主な品種として
- 大ヨークシャー種
- ヨークシャー種
- ランドレース種
- デュロック種
- バークシャー種
- ハンプシャー種 など
これらの品種を3種掛け合わせた豚が「三元豚」といい、現在の日本の養豚では主流になっています。
「三元豚」という品種ではなく3つの豚の品種が元になっているということなんですね。
ちなみに三元豚は食肉にするための配合なので1代限りになります。つまり生まれた豚は食べられるためだけに生まれてくるんです。
豚肉生産ではランドレース種✖大ヨークシャー種で生まれた雌豚にデュロック種の雄豚を掛け合わせた三元豚(通称:LWD)が現在主流となっています。
欧米では4種類の品種を掛け合わせた「四元豚」(ハイブリット豚)が主流です。
ハイブリット豚は三元豚に比べ生まれてくる子ブタの頭数が多いため生産性に優れています。
日本でも少しずつハイブリット豚の生産量は増えています。
ブランド豚肉はこの三元豚を飼料や育成環境に違いをつけて各地で生産していることが多いです。
品質向上しているブランド豚肉業界
ブランド豚肉は品質基準があいまいと言いましたが、現在では「トレーサビリティ」(養豚では出生から消費段階までの履歴を追跡できるシステム)の導入も進み、安全で安心に消費者が購入できるようになってきました。
ブランド豚肉ごとの改良・改善で味も進化しています。
これから注目の食肉分野だと思います。